【最新版】歌における「喉を開く」とは?

「喉を開く」というのは、どんな感覚なのか?

みなさんは、歌っているときに「喉を開く」というのは、どのような感覚のことだと思いますか?

●喉が詰まっていない感じ
●喉がリラックスしている感じ
●スーッと筒のようになっている感じ
●あくびの時の感じ
●口を大きく開けているときの感じ

などなど、色々な答えが出てくると思います。
どんな感覚かについての私の答えは、後ほどお伝えいたします。
その前に、「喉を開いた状態」を科学的な視点、解剖学的にどんな状態なのかお話させていただきたいと思います。

歌においての「喉を開いた」状態とは、
「喉頭蓋が上に起きている状態」です。

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喉頭蓋が上がることで、
青い斜線の部分(咽頭共鳴腔)が広がり、
良く響く声が出る。

これはどの歌のジャンルでも通じることで、どんな歌も気持ちよく歌えるでしょう。

しかし、困ったことに「喉頭蓋を起きるようにすることを、そこだけピンポイントに意識的に動かすことができません」

だから、なんとなく、喉頭蓋が起きている状態というのを、みなさん「こうかな、ああかな」と試して、あくびをしたり、口を大きく開けてみたりするんですね。

でも、本当にこれで合っているのか、本当に喉が開いているのか分からず、ハッキリ自信持って「今喉が開いています」と言える方は、実際はあまりいないと思います。

そこで、私は10数年かけて「喉を開く方法」について研究して、喉頭蓋と舌骨は対極に動くことがわかりました。
「舌骨を手で触りながら前下方へ動かすと、喉頭蓋が起き上がりますよ」ということを、5、6年くらい前からレッスンしています。
それで実際に、低音から高音まで楽に行けるようになった方も多いです。

しかし、すぐに出来ない方も多く、舌骨が動かない、喉が詰まって仕方がない方をどう早く助けるか、の研究をしていきました。

喉頭蓋が倒れると、喉が詰まった感じがしたり、声が良く響かない。

喉頭蓋が倒れてしまう原因とは?

喉頭蓋が倒れると、喉が開いている感覚にならないということはご理解いただいたと思います。
私の研究では、その原因となるものが3つに整理できました。

①舌が下がっている

下のMRI画像を見ていただければ、一目瞭然ですね。

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左:喉が開いてる 右:喉が詰まっている

舌が下がっていることは、歯学では「低位舌」といって、飲み込みや呼吸によくないとされています。
歌う時にも、もちろん舌を上げることが大事なのですが、注意しないといけないのは、舌の前ではなく、奥を上げること。
前だけ上がった状態では、逆に喉が詰まってしまうので注意してください。

②顎が奥に引っ込んでいる

写真のように顎の下に指を入れてみてください。
押していたい方や硬くて指が入らない方は、顎が後ろへ引っ込んでいる可能性が高いです。

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顎が後ろへ引っ込んでいると、舌骨も後ろへ押されて、喉頭蓋がしっかり起き上がるスペースがなくなってしまいます。

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顎の下が硬かった方は、いつもより下あごを前に出してみてください。
そうすると、ちょっと軟らかくなって喉が開きやすくなるのがわかると思います。

③噛む筋肉の歌への影響は、全く知られていない

喉の詰まりを生んでいる最大の原因は、実はものを食べるときの噛む筋肉です。

思いっきり奥歯を噛みながら、喉を触ってみてください。
喉仏が後ろに動くのがわかりますよね。

寝ているときの食いしばりや、噛み癖によって、奥歯のあたりにある頬の筋肉が硬直します。
これは昨年発見したことなのですが、噛む筋肉である内側翼突筋・外側翼突筋は、咽頭収縮筋と繋がっています。

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咽頭収縮筋は、舌骨や喉仏の裏についていて、ものを食べるときに気道をふさぐ筋肉です。
気道をふさぐ筋肉とは、つまり喉頭蓋を倒す筋肉ということです。咽頭収縮筋は、これまた自分の意志で動かすことはできませんが、内側翼突筋・外側翼突筋は、自分の意志で動かせます。
「歌っていて喉が詰まりやすい」「高音が苦しい」などは、この筋肉の硬直を緩めれば解決します。
この内側翼突筋・外側翼突筋が緩められると、軟口蓋を上げることも容易掴むことができます。

この筋肉が硬い人は特に、イの母音が苦手だと思います。
イのときに噛みしめる感覚に近くなって、内側翼突筋・外側翼突筋が硬くなるからです。

すぐに出来る!喉を開く練習方法

①口の中に空気をプーっと沢山入れてみてください。
②その空気を口の奥に移動させます。
そうすると、舌骨が自然と前の下方向へ移動し、喉頭蓋が起きた状態になります。

③そのまま空気がなるべく抜けていかないようにしながら、口を開きます。
④口を横に広げずにイーと言っていただくと、喉がつまらずにイと言えるのがわかると思います。

「口の奥に空気がいっぱいになっている感覚」を繰り返し覚えていくことで、喉を開く感覚がキープできます。

喉が開くメカニズム

さて、最初に出した質問の答えですが、もうおわかりですね。
みなさんは、歌っているときに「喉を開く」というのは、どのような感覚のことだと思いますか?

答え:
空気を口にいっぱい入れた感覚
(だたし、顎がは前に。舌は下げない)

顎と舌については、意識できる方だけでも結構です。
まずは、口の中に空気を入れて噛む筋肉を緩めていきましょう。

どうして「口に空気をいっぱい入れる」と、喉が開くのか?

それはですね、みなさんモグモグ噛んで食べるときは、喉頭蓋はどうなっているかご存知ですか?
喉頭蓋が倒れて気道をふさいでるのですね。

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そして、咽頭収縮筋が収縮することで食べたものを下へ流しているんです。

この動きは一瞬なんです。
噛み噛みしているときには、外側翼突筋・内側翼突筋が噛む動きをしていますね。
そして、繋がっている咽頭収縮筋が収縮しているのです。

それとは反対に、噛んでいないとき、口を動かしていないとき、空気がいっぱい入ってくるときには、気道を広げたいので、咽頭収縮筋は収縮しないのです。

ですから、口に空気が入っている=喉頭蓋は起き上がっている=喉が開いている状態
と思っていただいて結構です。

顎がパクパク動くと脳が噛み噛みしているんだなと勘違いして、咽頭収縮筋が収縮してしまいますので、顎はあまり動かないように舌で発音しましょうというのが、私の理論です。

すごく遠隔操作な感じがすると思いますが、これでどんな曲も思い通りに歌えるようになります!

浅井 のぞみ

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ボイストレーナー 浅井 のぞみ

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