「自分に合っている曲」と「好きな曲」どちらが歌が上手くなる?
こんにちは、アンヴォ―カルスクールの浅井です。
「自分に合った歌が何かわからないんです。何を歌ったらいいですか?」
と、生徒さんに聞かれることがあります。
「どんな曲が合うか?」
という質問に対しては、私の視点で、「今のあなたにとって歌いやすいだろうと思う曲」を提案します。
「今のあなたにとって歌いやすいだろうと思う曲」とは、今のあなたの声の音色、音域、リズム感、キャラクターの観点から判断して、きっと音も覚えやすくて、声も出しやすいだろうと思う曲です。
その曲だったら、カラオケでいきなり歌った時にでも、ある程度の出来で歌えるだろうと。
でもそんなとき、私は、その生徒さんの本当に歌いたい曲は、また別なんじゃないかなと思うのです。
そこで私の方から「『こんなふうに歌いたい』『こんな声になりたい!」というアーティストは誰ですか?」
と聞くと、
「○○みたいな声で歌えたらな…と思いますけど、難しいですよね」
「(曲名)が歌えるようになったらいいと思いますけど・・・」
と皆さんおそるおそる、遠慮がちに話してくれます。
「じゃあ、そこへ向かって練習していきましょう!大丈夫。できるようになりますよ!」と、ポンと、それを練習曲に選ぶことがほとんどです。
その曲を歌うには、もしかしたら今の時点では、かなり難しいかもしれません。
でもそれは、その歌を歌えるための声の出し方や歌い方を知らないだけであって、ほとんどの場合、決して「あなたの持ち声では無理」とは思いません。
友達と行ったカラオケで「失敗したら恥ずかしいな」と言う時には、「今のあなたに合っている曲」を選曲して歌えばいいと思います。
でも、レッスンではそういう曲を選んでしまうと、なかなか歌の技術・表現が向上していきません。
ですから、本当に自分の好きな曲や「好きなアーティストみたいになりたい!」と思う曲を選んで、頑張って練習をしていってほしいと思います。
日本語の曲でも英語の曲でもOKです。
今のあなたには、発声練習では結構声が出るのに、曲になると「高音が届かない」「歌詞をつけると喉が詰まってしまう」というような発声の問題。
音程やテンポがとれないなどの音楽的な問題。
色々あると思いますが、いっぺんに全てを解決しようとするのではなく、それぞれ一つずつバラバラにしてクリアしていけるように練習しましょう。
曲の練習方法
では、具体的に練習のやり方を上げてみますと、
- 「ネ」だと高音が出しやすいなら、1曲全て「ネ」で歌ってみる。
→これだと歌いやすかったら、次は「ネナノニネナノニ」で歌ってみる。 - 「ポ」の発声だと喉が詰まりにくいから、詰まりやすいフレーズを全部「ポ」で歌ってみる。
→「ポ」の口の形のままで、同じフレーズを歌詞で歌う。 - 音程やリズムがよくわからない部分がある
→よくわからない部分をスロー再生にして、5秒ずつくらい小分けにして止めながら覚える。 - 1フレーズずつ原曲の歌入り→カラオケと交互に録音→同じように歌えているか聴く。
聴いたときに、自分が納得いくまで同じ練習を繰り返す。
など、原曲のテンポで、歌詞でいきなり歌おうとしないで、一つずつ分割して練習していきます。
「こんなんでいつになったら歌えるんだ」と、面倒くさく感じる方もいるかもしれません。
しかし、原曲に合わせてひたすら何十回も通しで歌い続けるよりも、一つ一つを解決していくように練習していった方が、確実にちゃんと歌えるようになります。
行き当たりばったりで、「上手く歌える時もあるけど、歌えない時もある」というのではなく、自分なりの歌い方でいつでも歌えるという域に達することができます。
どうしても、「歌いたい曲が難しすぎて今の時点では到底無理」という場合には、その目標とするアーティストの曲でもゆっくりの曲を選ぶとか、似た曲で音域の狭い曲を練習して、ステップを踏んでいくようにしましょう。
好きなら絶対歌えるようになる!
私はそう信じていますが・・・
今ボイトレに通っていて、先生から「こんなのは無理よ」と言われてしまったという方。
絶対にあきらめないでください!
批判するわけではないのですが、もしかしたら教える側に「あなたをそこまで引き上げるための『教える知識や技術』がない」という可能性もあります。
それを見極めるために、「どうして無理なのか?」「どうしたらそこへ近づけるのか?」をしっかり聞いてみてください。
ちゃんと納得いく説明が得られたなら、その先生はきっとこれからもあなたに寄り添って、本気で考えてくれるでしょう。
もしモヤモヤが残った場合は、たまたま先生と合わなかっただけで、どうか「自分がだめなんだ」とは思わないでください。
誰にも得意不得意がありますし、その先生の得意な声の出し方、ジャンルの曲から外れたものは、指導が難しいのかもしれません。
私が歌を始めた20、30年前と比べれば、今は発声や歌を学べるスクールは無限にあります。
海外のトレーナーにだって、オンラインで教わることができますので、自分の力を本当に伸ばしてくれる先生が見つかるはずです。
そして、「絶対この曲が歌えるようになる!」と自分を信じ、地道な練習を重ねていってください。
私自身もいろいろ遠回りして、何人もの声楽家やボイストレーナーに出会って、色んな考え方や声の出し方を学び、20年以上かかって本当に自分が出したい声や歌いたい歌い方ができるようになりました。
好き嫌い関係なく無難に歌える曲を歌うよりも、自分が本当に好きな歌が歌える方が絶対楽しいです!!
「絶対歌えるようになるんだ!」という思いで、自分の可能性を広げていってください。
そして、歌を今よりもっと楽しめるようになっていただけたらと思います!
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