こんにちは、ボイストレーナーの浅井のぞみです。
高い声が出る正しい口の開け方について、お話させていただきます。
みなさんは、色んなボイトレの情報に翻弄されて、何が正しいんだと混乱してしまっていませんか?
私のレッスンでは、高い声だからといって特別な開け方をしましょうというより、人間の身体の構造に即した自然な口の開け方をすることが、一番声が楽に出ますし、無理なく高音を出すことができます。
舌骨発声ボイストレーニングのYoutubeチャンネルの視聴者の方から
「高い声を出すには、声帯の閉鎖を練習をしなくては始まらない」、
「まずはヘッドボイス、チェストボイスの練習をすることでしょ。小手先の練習をやっても意味がない」
などのご意見を度々いただきました。
確かに、Youtubeを見ただけで、ヘッドボイス、チェストボイスを2,3か月練習して、その後にミックスボイスがスルスルと出るようになる方もいらっしゃいます。
うらやましいですね~。
私のスクールには発声改善専門コースを設けていまして、お悩みが深い方に多く来ていただいています。
「30年色んなボイトレに通ったけど、いまだに声が思い通りにならない」という方もいらっしゃいます。
「どんな方にも歌を諦めないで欲しい」という思いから、日々解剖学を研究しておりまして、それで新たに分かった情報を発信しております。
声帯閉鎖やヘッドボイス、チェストボイスの一般的な練習方法については、すでに3、4年前に発信してまして、決してそれをやらなくてもいいということではありませんので、どうかご理解ください。
▶Youtubeでは一緒に練習していいただくことができます!
口を開くことは、顎関節を動かすこと
前置きが長くなりましたが、本題にいきましょう。
みなさんは、「口を開く」というのはどのような仕組みになっているか、ご存知でしょうか?
「顎の関節を前に移動させてから下げると、口が開く」
これが人間本来の口が開く仕組みです。
詳しく説明しますね。
口を開こうとすると
「顎をしゃくったらおかしいでしょ」と思われるかと思いますが、しゃくるというのは顎先だけを前に出すことで、私が言っているのは顎関節を前に移動することなので、ちょっと違います。
ポイントは顎関節のグリグリした出っぱりの部分だけ前ではなく、L字の縦のラインごと平行移動することです。
耳の下の縦のラインが前に動かない方は、耳の下にある胸鎖乳突筋が凝っています。
胸鎖乳突筋は、耳の下から鎖骨までV字に伸びている筋肉で、ここが硬くなると、喉仏が後ろに押されて喉が詰まります。
当然声帯の動きも悪くなりますので、声帯閉鎖やヘッドボイス、チェストボイスと声を出しわけることもできなくなりますので、ここの硬さを取り除くことは重要です。
また、顎が前に移動しないと、舌骨上筋群(舌骨と顎の間の筋肉)も硬くなります。
そうすると、声が割れて高音が出せなくなります。
口を開けるとカクっとかジャリジャリと音する方は、顎関節に歪みがあるためで、これが顎関節症という症状です。
顎関節症の治療については、医師ではないので説明するのをここでは差し控えますが、顎関節の上下前の筋肉をほぐすだけでも、カクっとする音が減ることもあるので試してみてください。
顎関節を正しく動かして口を開けられると、音程が低くなってしまうことや、響きが暗い重いなどの問題も解消されます。
このような口の開け方を意識して、みなさんがおっしゃる声帯閉鎖やヘッドボイス、チェストボイスを練習するのとしないのとでは、習得の速度に圧倒的な時間差が出ます。
歌う時の意識やマインドが悪いなんて、思わなくてOK
「曲の中で『ここは柔らかい響きにしたい』『ここは強く出したい』などの変化を、自由自在につけることができない」
以前、このような悩みを抱えている男性の生徒さんがいました。
「それを邪魔しているのが、実は顎」と思わずに、「出さなきゃと思ってしまうからいけないんだ」と、一生懸命リラックスを意識して練習していました。
でも、そもそも口の開け方が上手くいっていない場合は、それを改善しないことには結局は変わりません。
「ヘッドボイスや声帯閉鎖はできるようになったけど、歌になると思うように出ない」という場合も、私は「メンタルの問題だという言葉で片付けたくないな」と思います。
もし、「顎関節に問題がないんだけど、なんか歌うと力は言っちゃうんだよね」
という場合には、歌う時に口の周りや頬の筋肉が硬くなっているせいかもしれません。
最近、口の周りの筋肉(口輪筋)・頬の筋肉(頬筋)が、喉の後ろ側の筋肉(上咽頭収縮筋)と繋がっていることがわかりました。
なんと、そこから唇までにつながっているんです。
そのため、口の周りの筋肉・頬骨の下の筋肉を緩めると、喉も緩んで開いた感覚になるんです!
口をパクパク開け閉めする場合には、上の奥歯と下の奥歯の間をフニャフニャにするようにしましょう。
これで、高音のフレーズが続いても、喉が苦しくなることはありません。
「言葉をハッキリとしないと!」と、口の周りの筋肉に一生懸命力を入れてしまうと喉が詰まりますので、言葉を発音をするときには、やはり舌で発音することが大事です。
顎や唇が動いても構いませんが、舌を補助するくらいの感覚で、軽く動かすように心がけてください。
口の周りの筋肉については、長くなってしまうので、具体的な練習方法や詳しいメカニズムについては、また改めて説明させていただきます。
あれこれ発声を考えながら思考的に歌うトレーニングも必要ですが、それが最終目標ではないですよね。
身体の仕組みをちゃんと理解して、その構造通りに動かしながら声を出せば、無理しないで高音を出すことができます。
そうして自分の声や身体を信じて、やっていけばちゃんと出てくるようになります。
こんな感じで、ちょっと変わったボイトレですが、受けてみたい方は体験レッスンのお申込みお待ちしております♪